筋ジストロフィーで障害年金が受け取れる場合

文責:所長 弁護士・社会保険労務士 湯沢和紘

最終更新日:2024年01月23日

1 筋ジストロフィーでの障害年金受給

 筋ジストロフィーの方も、障害年金受給にあたっての所定の要件を満たしていると認められれば、障害年金を受給できる場合があります。

 要件ごとに、順番に見ていきたいと思います。

2 初診日

 障害年金申請では、通常、初診日を特定させることが必要となります。

 筋ジストロフィーの場合、初期症状だけで筋ジストロフィーであるとの診断を受けないこともあります。

 しかし、障害年金申請手続きにおける初診日というのは、申請する傷病に関して最初に医療機関を受診した日、となりますので、申請する傷病に関して傷病名が明らかになった日ではないということに注意が必要となります。

 筋ジストロフィーは、基本的に徐々に筋力の低下等が進行していくため、初期の段階で整形外科等を受診したとしても、筋ジストロフィーと診断されないこともありますが、申請傷病に関して初めて受診した医療機関であることから、「筋ジストロフィー」と診断していない病院が初診の病院であるということがありますのでご注意ください。

3 保険料納付

 障害年金は、通常65歳から受給が始まる老齢年金と同様、年金制度の1つですので、保険料を納めていることが原則とされています。

 もちろん、障害年金受給のタイミングはひとそれぞれですので、20歳から初診日まで完璧に納めている必要があるという制度にはなっていません。

 基本的な見方としては、初診日(厳密には初診日が属する月の前々月まで)を基準に、①1年間未納がないか②20歳から基準時点まで1/3以上の未納がないかというのが要件とされています。

 保険料納付免除の手続きを取られている方の場合、免除は未納とは扱われません。

 筋ジストロフィーに関する症状が幼少期から出始め、20歳以前に通院を開始する方もいるかと思います。

 この場合、保険料納付義務がまだないため、この要件は問題とされません。

4 障害状態

 最後に、一定の傷病の状態にあることが障害年金受給にあたって審査され、認定された等級に応じて受給が認められることになります。

 筋ジストロフィーの症状については、主に四肢の障害として現れる場合が多いと思います。

 四肢に関する障害年金の認定基準は、上肢、下肢、体幹、肢体の4つに大きく分けられています。

 認定基準には、「肢体の障害が上肢及び下肢などの広範囲にわたる障害(脳血管障害、脊髄 損傷等の脊髄の器質障害、進行性筋ジストロフィー等)の場合には、本節 「第1 上肢の障害」、「第2 下肢の障害」及び「第3 体幹・脊柱の機能の 障害」に示したそれぞれの認定基準と認定要領によらず、「第4 肢体の機能の障害」として認定する。」との記載があるため、筋ジストロフィーの認定は肢体の基準に基づき1級から3級まで、と読めます。

 しかし、障害年金の認定対象は、病名というより、現在の障害の状態となりますので、例えば下半身のみの症状という場合には、「広範囲にわたる障害」ではなく、下肢の障害として審査されることになり、この場合には障害手当金と認定される可能性もあるということになります。

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