知的障害の場合の障害年金における初診日

文責:所長 弁護士・社会保険労務士 湯沢和紘

最終更新日:2022年05月30日

1 障害年金申請における初診日の取り扱い

 原則として、障害年金の申請にあたっては、初診日を特定できていなければなりません。

 初診日というのは、申請する障害に関しての最初の医療機関への受診日をいいます。

 障害年金の申請手続きにおいて、初診日の特定はとても重要です。

 まず、障害基礎年金か障害厚生年金かといった申請の種類を分けるのは、初診日時点で国民年金、厚生年金等、どの年金に加入しているかが基準とされます。

 また、保険料納付要件についても、初診日までの納付状況で判断されます。

 さらに、障害認定日についても、初診日を基準に判断される場合が通常です。

 このように障害年金申請手続きにおいて重要視されている初診日ですが、実情として、この特定が難しく、結果として障害年金の受給が認められない、といった場合も少なからずあります。

 この点について、知的障害については例外的な取り扱いとされています。

2 知的障害の初診日は証明が不要とされます

 上記のとおり、障害年金申請において初診日の特定は重要であり、かつ困難な場合もある問題ですが、知的障害についての障害年金申請については、そもそも初診日の特定、証明が必要ありません。

 知的障害の発生原因は、すべてが先天性、というわけではないようですが、遺伝子によるものや、母体の感染、出生時の低酸素等、出生前後の時期に生じるものが通常であるとされています。

 他方、知的障害自体あるか否かがわかるのは、ある程度大きくなってからということも少なくありません。

 こういった事情から、知的障害の障害年金申請について、初診日は出生した日と取り扱うものとされています。

 20歳前が初診日となっている障害年金申請は、20歳時点を障害認定日とする20歳前障害基礎年金の申請になります。

 この場合、20歳前時点では保険料納付の義務がないため、保険料納付要件もありません。

 結果として、知的障害の障害年金申請は、障害の状態が障害年金受給を必要とする程度といえるか否かによって決まってくるものとなります。

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