障害年金と労災給付に関するQ&A

文責:所長 弁護士・社会保険労務士 湯沢和紘

最終更新日:2023年05月11日

障害年金と労災給付に関するQ&A

Q労災でも障害年金を請求できますか?

A

 労災の場合でも、障害年金受給の要件を満たしている場合、受給することが可能です。

 障害年金の受給の要件は、①初診日が特定されていること、②保険料納付要件を満たしていること、③一定の障害状態にあることです。

 労災事故の場合、事故発生後即座に救急搬送されることもあり、比較的初診日が特定しやすいケースもあります。

 また、労災申請等手続きをした資料が残っていることで、初診日を証明する資料が残っていることもあります。

 比較的大きな事故であれば、同僚など、目撃者が複数いることも考えられます。

 保険料納付要件に関しては、労災事故の場合、厚生年金の納付要件を満たしている場合が多いと考えられます。

 障害状態の認定については千差万別と言わざるをいえませんが、労災事故に関しては、障害年金の他の要件を満たしていることが多いといえます。

Q障害年金と労災はどちらも受給できますか?

A

 受給額の調整等される場合がありますが、どちらも受給できます。

 ⑴ まず、障害年金と調整が生じるのは、労災年金となります。

 労災の保障は、障害の等級に応じて、14級から8級までは障害補償一時金、7級から1級までは障害補償年金とに分けられます。

 このうち、調整の対象となるのは、障害補償年金です。

 ⑵ 次に、障害補償年金が受給できる場合の障害年金との調整ですが、障害年金の方は全額受給できることとし、障害補償年金の方を割合的に減額することで調整するものとされています。

 ただし、併給調整によって、減額前の労災保険の受給額を下回ってしまわないように配慮されます。

 厚生労働省のサイトにもまとめられておりますので、合わせてご参照ください(参考リンク:厚生労働省・障害(補償)年金や遺族(補償)年金などの労災年金と厚生年金の両方を受け取ることはできるのでしょうか。)。

 ⑶ 20歳前障害基礎年金の場合は取り扱いが異なり、障害年金の方が支給停止となります。

 また、障害厚生年金の中には障害手当金という一時払いのものがありますが、障害手当金に関しては、支給されないものとされています。

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